17th メディア対抗ロードスター4時間耐久レース

今年で17回目のメディア対抗ロードスター4時間レースに参加してきました。このレースは、自動車専門誌を中心に、さまざまなメディアから選抜されたチームによる耐久レースです。またジャーナリスト自らドライバーを務めるレースでもあります。

 

 No,07 ahead

DRIVER01

      近藤正純ロバート

DRIVER02

      桐嶋ローランド

DRIVER03

      田中豊彦

DRIVER04

      丸山浩

 今回で17回目の歴史のあるメディア対抗ロードスター4時間耐久レース(以下メディ耐)が9月16日に行われました。予選、決勝ともその日のうちに行なういわゆる1DAYレースです。今年からレギュレーションが若干変更され、プロレーサーを助っ人として雇った?チームが常勝化しない様、ガソリン使用量も制限(110L→90L)されました。車両は昨年型NCでロールバーや4点ハーネス等安全装置以外はノーマルです。去年は最後まで持たなかったブレーキパッドもエンドレス製へと変更され、タイヤはおなじみブリヂストンRE-01Rへ進化。車両もWMではおなじみの「aheadカラー」をまとったイメージは昨年同様、精悍です。
 予選アタッカーはわれらが丸山も健闘むなしく10番手。年一回開催のみのメディア(4輪誌)対抗なので各誌威信をかけて名だたるドライバーを擁し、車両も見覚えのあるロゴがずらり並んでいます。一筋縄ではいきません(27チームの中にはWM走行会でも縁のある織戸選手や飯田選手も参加)。こういったノーマルベースのレースはあまり華やかさも無く、淡々と走るイメージがありますが、実はイコールコンディションでドライバーの能力次第、耐久であればチームの作戦次第となかなか奥深さがあります。どんなレースでも結果は残りますので、決勝に向け綿密な作戦を立てたいところですが、車両はマツダからの貸与で前日の午後に初めて触れられるといった厳しい状況。ドライバー別の燃費計測も結局出来ませんでした。
 16時からスタートし20時にチェッカーするレースはレース中盤で夜を迎えます。そこで暗闇でも見えるサインボードに改造する事に!
しかしどこのチームもサインボードの前に蛍光灯や投光器を置いて照らしてやる事はほとんど同じ。同じように作ってしまえばドライバーは他チームのボードと区別が付かずに見落とす可能性が・・・そうなると最悪の場合ガス欠になってしまう。うーんなかなか難しいですね?
 そこで青いLEDのフラッシュをボードに直接付けて光らせてみようと・・・実際に付けて光らせて見るとパッパッと鋭い光がかなりいい感じです。これなら最終コーナーを立ち上がってきたドライバーにも良く見えるはず!
あとボード自体をどう照らすのか?これは小型のハロゲン投光器を2台直接ボードに取り付けて、あとは下からもう1台大きいので照らす事に!テストの結果は予想よりも光量がでていたので充分納得のいく物なりました。
しかしライトの色がいかにも取って付けたような色なのでWITH MEの青色で塗る事にしました。そしてレース2日前を持ってサインボードは万全な形に!ちなみに防雨対策も万全です。耐久レースは一人で出来るものではなく個々が一つになって成し遂げるもの。
当日のチームワークを大切にしあとは皆で勝利の女神に皆で祈るだけ・・・

 決勝レースは、スタートドライバーを近藤ロバートさんが昨年に続き行い(第1ドライバーはメディア関係者のみ)、38LAPを安定したペースで走り終え、御本人曰く「スピンすると思うから作戦にも入れておいて」のコメントとは裏腹に、Bitzレースで培った経験をいかし危なげなく第2ドライバー田中豊彦さんへバトンタッチ。田中さんは予定上の周回数は38LAPですが、コースへ出て11周(決勝スタートから1時間6分経過)でコーストラブルによるセーフティーカー(以下SC)のコースイン。まだ序盤での出来事に各チーム微妙な作戦変更を余儀なくされます。通常の耐久においては、各ドライバーの走行時間制限にまだ余裕がありますが、メディ耐は意外に余裕が設けられておりません。1人の連続走行時間は50分。4時間レースなので誰かがもう一度走行する事になります。若しくは5交代で2名が2回乗る作戦もあるかも知れませんが、交代数が多ければタイムロスも大きくなるので各チーム当然4交代(1人だけが2回乗る)作戦で行なっているはずです。予想では給油を次の第3ドライバーの丸山へ交代する際に設けてあり、このタイミングではタンクに入りきらない可能性もあります(スタート時は50L満タン)。SCのラップタイムは2分強で走行してしまうので給油した方が後々アドバンテージになるかもわかりません。が、逆にどのタイミングでSCがコースオフするかもわかりません。この半ばも過ぎていないタイミングでのSCは悩みました。昨晩(朝)4時までHASEメカと出したプランをここで一旦組み直し、この後のズレを補正して結果としてピットインはしないでそのまま周回しました。結果SCの導入は6周にわたり、影響の大小はありますが、ドライバーのタイムオーバーだけに集中しました(後で聞いて冷や汗モンでしたが、タイムオーバーまで10秒未満、、、ギリギリでした)。予定の周回数を3周減らしピットに戻ってきた田中さんによると、コーナーでの他車からの寄せがひどく、ツーリングカーレース並みの接触も数回受けたそうです。

 実は今回のレースはレギュレーション的に燃費が厳しく、救済措置で結果として90L以上にガソリンは使用できるのですが、一回の給油量制限が5L、ピット停止時間も3分と(推測でも8・9周毎に消費する給油時間・ピットインアウトでのロスタイム・3分の停車時間、、、)あくまで救済ですね。チームプランとして90L以上使う事は極力避けたいところです。かといってガス欠でコース上にストップ、はあってはならない事ですが。そんな訳でドライバーの皆様は燃費走行を実行中で、他車とのラップタイムが異なっていたとしても仕方が無いのです(接触しながら抜いていくのは非紳士的ですが)。それでもSCによる他チームのピットイン+実力で順位も22位→14位まで上げました。
 燃費走行に徹するまま第3ドライバーの丸山へ1回目の給油(3分停止)をはさみバトンタッチ。4人の中でもポイントゲッター的な田中さんとあいまってWM看板的ドライダー?丸山ですが、田中さん同様に我慢・堅実な走りを披露します。ちょうどこの頃に筑波サーキットは日没を迎えますが、2輪はもとより4輪レースでも経験・実績のある丸山は、昼間とは異なる視界のなか、HASEメカの力作の夜間用サインボードの甲斐あってか、燃費走行でも一時は22位であったポジションを18位まで上げ、桐島ローランドさんへ交代しました。予定では最後となる2回目の給油(3分停止)も完了し、後はドライバーチェンジのみで20:00のチェッカーを受けるだけです。

ローランドさんは2輪でダカール&ファラオラリーで活躍中、WMではもて耐でも速さは保証付ですが、初4輪レースとあってナーバスに、、、と思ったら全くそんな気配も無く遜色の無い走りを披露してくれました。 トラブルも無く(筑波の計測モニターが停止するというトラブルはありました、、、)こちらも燃費重視の走りで、ピットアウト後少し順位は下がりましたが追い上げ、ポジションキープで最終の田中さん(2回目)へ危なげなくタスキを渡します。

 この時時刻は19:13で残り50分を切っています。ここでいよいよ本領発揮です。今までの燃費走行でできた貯金の吐き出しです。フォーミュラで鍛えた卓越した走りを発揮しつつ、燃費に苦しむはずの他車をウサを晴らすように畳み込みます。チームオーダーの足かせを外し、レッドゾーン付近までキッチリ回すと1周で2秒近くもLAPを上げ、ポジションアップもかなりのハイペースです。平均して4周に一つづつ順位を上げ、171周の時点で13位まで浮上しました。ここからドラマチックな展開になります。同じ様な作戦で走行しているチームもそれなりにありましたが、チェッカーまで残り10分に近づくと嘘のようにペースを落とした車両が多いのに気付きます。事前にマツダからは「給油ランプが点灯したら1周できるかギリギリ」とブリーフィングで聞いていました。

 各チームは燃料残と残り時間の兼ね合いでペースダウンを余儀なくされている様子です。更にはガス欠でコース上でストップする車両もパラパラと出始めました。174周で11位、180周で10位、181で9位、、、周囲の期待も高ぶります。目標の6位は甘いものではありません。緻密なシミュレーションも万能ではありません。後は田中さんの走りと他車の脱落を期待するしかありません。−と携帯無線で田中さんから残り数分の時に「給油ランプが点いた」との声が、、、せっかくのポジションアップもエンジンの息つき症状で失速します。「最終コーナー手前で止まった(田中さん)」「エンジン掛かりませんか?セルで動けませんか?(丸山)」既に時計は20:00を回っています。「もうすぐチェッカーですよ。がんばって動きませんか?(丸山)」「動いた。ゆっくり走ってみる(田中さん)」 この時点でチェッカーは振られ、トップの車両からピット前のコンクリートウォールをなめる様にウイニングランへとうつり、他のピットからはドライバーを迎える歓声があがります。レース実況も大いに盛り上げます。そんな中ひときわコンクリートウォールに寄ってゆっくりとチェッカーを受ける車両が、、、われらがaheadロードスターが目の前を通過していきました。大騒ぎです!しかも少し遅れての歓喜です。給油ランプ点灯からガス欠症状が出てストップするまでの時間は僅かでしたが、諦めムードの中、目の前を走り去る田中さんに気が付くのも、僅かに時間が足りませんでした。田中さんのアグレッシブな走りが、燃費プランやマツダの発表に若干の誤差を生み出しましたが、堂々のチェッカーです。燃費担当の自分は、まあ生きた心地はしなかったですね。しかもチェッカー受けてすぐ1コーナーを抜けたところで完全にストップ!かなりのスリリングな展開にホッとするやらゾッとするやら訳がわからぬうちに、ふとピットレーンで物思いにふけつつ、逆向きに目線を上げaheadのピットを見ていると、遠い金網の向こうでヘルメット姿の人がこちらに向かって手を振っています。「あれ、田中さんじゃん?」、、、ご本人です、、、。絵的に最高のフィナーレです。ある意味、田中さんをコース上で、ウイニングランも50mで止めざる得ない状況にしてしまったのは自分ですが、ヘルメット姿のまま意外なところで手を振っているという田中さんのキュートさに笑いをこらえませんでした。その後、めまぐるしく変わった順位も正式発表され、7位でフィニッシュとなりました。目標までひとつポジションは後ろですが、厳しいレギュレーションや練習不足の経緯を踏まえるときっと誰もが満足し、充実したレースになったと思います。そろそろaheadをはじめとして各誌面にてメディ耐の記事が掲載されていると思いますが、ノーマルカーのロードスターレースにこれほどドラマがあるとは思いませんでした。丸山の来年の目標(ノルマ)が更に加速しないうちにこのレース報告を締めたいと思いますが、
ご支援・ご協力いただきましたスポンサー様、ヘルパー様、応援で駆けつけていただいたご家族の方々、有難う御座いました。本当にご苦労様でした。

表彰式は自分たちは参加できませんでしたが、そちらの報告もどなたか、、、、と言う訳で最後に、ノーマルのロードスターで皆様が参加できるレースがあります。ロードスターのパーティーレースと銘打ったシリーズがそうです。改造箇所を厳しく制限し、タイヤもBSワンメークでイコールコンディションな大人でスマートで低コストなレースが催されています(当日も別枠で行なわれていました)。車両の販売・詳細は、、当社ファクトリー丸山・佐藤までお問合せ下さい。ノーマルとはいえロールバーにフルバケシートなど雰囲気はありますし、レースを見れば思いのほか本気で白熱しているのがわかります。走行会からステップアップしたい方におすすめです。(メカSAT)
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